読んだ本記録 『偶然の装丁家』

2015年読み終わった本14冊目。


『偶然の装丁家』矢萩多聞

晶文社の「就職しないで生きるには」のシリーズは数々読んでいて、どれもひきこまれる内容と人物ばかりなのですが、今回のも例にもれず。

著者は小学校中学校と不登校で、10代のほとんどをインドで暮らしたのち、偶然(と言っているが、やっぱり決して偶然などではなく、必然といえる)装丁家の道へ。

「いつの間にか装丁家になっていた」とあるが、実際はそんなことはなく、ひとつひとつの出会いを大切にしてこられた結果なのだと思います。

学歴や資格とは無縁。
自分にできることを真剣にやることだけなのだな、と思います。


なんというか、このシリーズに多い気がするが、文筆家じゃない人が自分のことを書いていると、本当にまっすぐ心に届いてきて、生きるっていいな、としみじみ思ってしまうのです。

本好きとしては装丁ももちろん重要で、装丁家の人間性までも知ることができたら、さらに読書の楽しみは広がるのであります。



著者が小学校で不登校になる原因のひとつに先生の数々の心ない言葉があります。

遅刻や忘れ物が多く勉強も苦手だからといって「こんなことでは将来は乞食になるしかない、結婚もできないだろう」と言われたそう。

そんな言葉を発する教育者がいるのか!?と驚きますが、毎日のようにニュースで伝えられる先生の犯罪や行いを耳にすると、素晴らしい先生のほうが多いだろうに、あたりが悪いと人生損しちゃうよな、と思ってしまいます。

学校に行かない次の選択がインドで暮らすことだというのは、どうしたって珍しい経験だと思いますが、読んでいくと、これも著者(とその家族)にとっては必然なのだろうと思わされます。


次々とこのシリーズを読んでいますが、就職しないで生きるのは50歳を前にしてまだまだわたしには難しい。

でも、自分の道が必ずあって、たとえ50歳を過ぎても、60歳を過ぎても、あるいはもっとかもしれないけれど、そこにたどり着けるということだけは信じているのです。

読書をすることは、その確認のような作業かもしれません。

きちんとプロになれるように、修業の毎日。

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『偶然の装丁家』矢萩多聞
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by amica-aroma | 2015-05-05 21:15 | 読書記録 | Comments(0)